自社の商品・サービスを販売している方の多くは「ブランディング」という言葉をよく耳にすることがあるかと思います。
しかし、実際には「今、なぜ、やらないといけないのか分からない」「自社に合った方法がわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか?
確かに、ブランディング戦略はマーケティング戦略と混同されやすく、「今、なぜ、やらないといけないのか分からない」と考える方も多いはずです。
また、ブランディング戦略は「顧客の感情」を扱うことから抽象的な概念が多く、「自社に合った方法がわからない」というアプローチ方法の点においても疑問が多いかと思います。
そのため、この記事では、商品やサービスを売る企業にとって、重要なビジネス戦略のひとつである「ブランディング戦略」の意味とメリット、具体的なステップについて紹介します。
ブランディング戦略とは
ブランディング戦略とは、簡潔に説明すると「顧客からのブランド連想を強くすること」をゴールとした戦略です。
その「ブランド連想」とは、顧客がブランドのロゴや社名をみて「ブランドが提供する価値」や「世界観」などに「一貫性」をもって想起できる状態にすることです。
そのために、競合他社と比較されない役割(ポジション)を決め、その顧客が実現して欲しいと願う「ブランド価値」を顧客目線で考え、提供する必要があります。
「ブランド価値」を考える際は、商品・サービスの品質・性能を訴求する「機能的価値」だけではなく、利用してみての感情「情緒的価値」に対する深掘りがとても重要です。
重要!ブランドアイデンティティ構築
「ブランド連想を強くする」ことが重要であることは理解できたところで、捉えどころの難しいブランディング戦略をどのように進めるかを説明します。
実際には、上図の「ブランドアイデンティティー構築(BI構築)」のフレームワークを使用してブランディング戦略を構築していきます。
このフレームワークが優れている点は、「企業側」だけの視点に偏らず、「生活者側」の視点も含まれていることです。
この「BI構築」を完成することで以下の2つのメリットがあります。
一つ目は、マーケティング施策において「一貫性」のある情報・体験を提供するための「判断基準」となることです。
一貫性のない情報や体験は「ブランド連想を強くする」ことをゴールとするブランディング戦略において大きな損失となります。
二つ目は、ブランドが提供する価値が明確になり「一貫性」が生まれることで、①社内スタッフ、②顧客、③社会からの共鳴(共感)を武器に、ブランドに関わるステークホルダーを味方に付けて成長(共創)することが可能となります。
特に、現在は「社会課題に対してブランドはどう貢献できるのか?」という「社会からみた自社の位置付け」を明確にする必要性が増しています。
これらのメリットから、「BI構築」はブランド戦略において立脚点となる重要な要素であると同時に、現在、ブランドが社会・顧客から求められている「価値」を明確することが可能となります。
ブランディング戦略のメリット
ブランディング戦略について「BI構築」が必要であることを解説したところで、ブランディングがもたらすメリットをご紹介します。
1つ目のメリットは、売上UPです。
ブランディング戦略によって商品・サービスの価値が徐々に顧客へ浸透することで、ブランドに対する「安心感」が生まれ、口コミによる推奨効果によって「販売機会の拡大」へと発展することが考えられます。
また、ブランディング戦略によって「他には替えられないブランド」としてポジショニングすることで、価格が他社より高くても選ばれる可能性が高くなり、結果、「価格プレミアム効果」によって売上向上を図ることが可能になります。
さらに、ブランディング戦略によって「他には替えられないブランド」になることで、顧客はブランドに対する「愛着感情」を抱き、結果、類似品へ流出せず「リピート率向上」へ貢献するなどのメリットが挙げられます。
2つ目のメリットは、事業拡大です。
ブランディング戦略によって、築き上げたブランドの「知名度や魅力」をうまく活用しながらサブブランドなどを開発して、新しい市場を開拓する戦略が可能になります。有名なところで言えば、Appleです。Appleは「知名度や魅力」によってスマホ市場・タブレット市場・イヤホン市場・スマートウォッチ市場などへの「ブランド拡張」を実現している例の一つとして挙げられます。その他、楽天などブランディングに成功したブランドは大きな成長を遂げています。
さらに、ブランディングが成功することで、生活者以外のステークホルダーを惹きつけ、企業からの「協業機会」が増え、ブランドとして更なる成長に繋がる可能性もあります。
3つ目のメリットは、コスト削減です。
ブランディングに成功すると、ブランドの知名度が高まり販売数が増加します。その結果、仕入れ業者に対する「価格交渉力」が有利になる可能性があります。
その他、ブランド構築によって知名度が高まり、社会的に定着し、多くの生活者から「指名買い」される状況を実現することで、一時的な広告宣伝コストに頼る必要がなくなります。
4つ目のメリットは、人材確保です。
これまでブランディングによるメリットを解説しましたが、「売上UP」や「事業拡大」を実現するためにはスタッフの確保が重要です。ブランディングは顧客だけでなくそこで働くスタッフも含め対象となります。これを「インナーブランディング」といいます。
ブランディングによって「知名度」が高まると同時に、ブランドが目指す「ビジョンやミッション」に共感した人材の確保、さらに、そこで働くスタッフの「誇り」を築きあげることが可能になります。
ブランディングとマーケティングの違い
これまで、ブランディングについて解説しましたが、同時にマーケティングと何が違うかについても理解する必要があります。
最も大きな違いは「成果」です。
ブランディングは顧客視点でブランドに対する「感情移入」にフォーカスして戦略を構築するため、成果は「長期的な視野」で取り組む必要があります。
一方でマーケティングは一時的なプロモーション効果による「短期的な成果」を生み出すことが目的とされています。
どちらが大切という話ではなく、「長期的な成果」と「短期的な成果」の両輪がブランドとして機能することが重要です。
ブランディング戦略の具体的なステップ
最後に弊社が提供している、ブランド戦略の具体的なステップについて簡単に解説させて頂きます。
冒頭でもお伝えしたように、ブランディングの最終目標は「ブランド連想を強くする」ことであり、そのために「ブランドアイデンティティー構築」が必要になることも併せてお伝えしました。
弊社では始めにブランディングの「目標」を必ず明確にして、約3ヶ月かけてブランドアイデンティティー構築をしていきます。
実際にブランディングを始めると「顧客視点」で考えることが難しく感じることもあるため、一つ一つの課題に必ず「フレームワーク」を使用して思考のサポートを行なっております。
また、弊社ではブランディングで「長期的な成果」の戦略を終えるだけでなく、マーケティングでより「短期的な成果」を生むための戦略もサポートしております。
まとめ
これまで、ブランディンの重要性について説明しました。
商品・サービスの質が均一化した時代に「機能的価値」を訴えるだけでは、顧客の心を動かすことが難しくなりました。
ブランディングをきっかけに「自社視点」から「顧客視点」で考えることで、顧客が求める「新たな価値」を発見できる機会にしていただければと思います。
ブランディングやマーケティングに関するご相談はお気軽にお問合せくださいませ。
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